情報・ネットワーク工学専攻 成見研所属修士2年の中村です。
2024年度に開講された情報数理工学/コンピュータサイエンス実験第二第3ラウンドのテトリス実験では、通常の対面授業と並行して遠隔地からVRを使っての実験を実施しました。コロナ禍の時の様子は過去の記事にあります。
今年度は、遠隔からの実験者を2名募り、第1~4回目まで対面形式でテトリスの設計を、第5~7回目の実験日に遠隔形式で設計、最終発表を行っていただきました。私は修士の研究としてこのシステムを開発しました。
遠隔端末
202サーバ室に設置されているVDI端末にFPGAが接続されています。遠隔地からこのFPGAに対して論理回路の書き込みを行います。テトリス画面のVGA出力はWebカメラで撮影を行っていおり、テトリスの音楽はFPGA音声モジュールのイヤフォンジャックからVDI端末のマイク入力に接続されています。

VR空間内
VR空間全体はこのようになっています。遠隔実験者はHMDとコントローラを使用してこの空間内で実験を行います。

VR空間内からはFPGAの操作、Quartusの操作ができます。


発表日の様子
作成したテトリスについて、2名の遠隔実験者にVR空間上から発表を行ってもらいました。VR空間上のFPGAを使って作成したテトリスを動かしたり、コントローラを使って赤い線を指し棒のように使用して発表しました。



実験最終日のプレゼン時の対面教室の様子です。場所はCED-115で実施されており、教室側面の8画面タイルドディスプレイにVR空間の様子を表示しました。


まとめ
感想
対面時とは異なり、遠隔時には周囲に人がいないため孤独感があります。今回のシステムでは遠隔実験時でもVR空間に他者がいるため、まるで教室に集まって多人数で実験を受けているような感覚を作り出すことができました。また、VR空間上のFPGAボードを操作することで遠隔地のFPGAに書き込んだ回路の動作を確認できるため、手元にFPGAボードがなくても本当にボードを操作しているような感覚を与えることができました。
遠隔実験者からは「VR空間上に表示される発表資料が大きいため細部まで見ることができる」「発表中は対面時に似た感覚を覚えた」という感想がありました。また、システム全体のアーキテクチャに興味を持ってもらったり、実際にVRでやってみて面白いという声をもらいました。
対面教室で発表を聞いていた人からは「単にZoomで遠隔からの発表を見るのに比べると、仮想空間だけど隣の教室に二人が一緒にいてそこから発表しているように一体感を感じた」という感想がありました。
課題
VR操作に慣れが必要であったり、操作キャラクターの移動時に酔いを感じたようで、一番の改善ポイントです。操作感はハンドトラッキング等を活用してみたらより現実感に近づきそうです。
また、VR空間からの発表時にはあまり他者への意識がなかったようで、孤独感の低減に関しても改良の余地があるようです。(これは製作者の胸中なのですが、システム制作時には常に一人でVR空間にいたので、テトリス実験の発表時にVR2名、対面側1名、自分の計4名もVR空間にいたので人が多い!と少し嬉しい気持ちがありました。)