成見研で実施しているイベントについて(2021/10/22)

成見研では毎年、夏休みと春休みに合宿に行って、観光したり研究発表をしたりしていました(成見研サイトのPASTBLOGをご覧ください)。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年からは実施できなくなりました。そのため、工夫をして合宿に代わるイベントを同時期に開催しています。
この記事では、コロナ禍での成見研究室でのイベントについて紹介します。

2020年3月は、野川沿いを散歩しました。電気通信大学から出発し、国際基督教大学(ICU)まで片道1.5時間くらいを歩きました。
桜の時期で天気も良く、景色が綺麗でした。電通大とは違う雰囲気で、海外の大学みたいな感じがしました。

2020年9月は、MICS杯というイベントを開催しました。MICS杯というのは、遠隔授業対策のために実装された「CEDに置かれたFPGAを遠隔操作するシステム」を利用してテーマに沿った開発・設計などを学生に行ってもらう学生参加型のイベントです。2020年は、ゲームを作成したりプレイしたりしてもらうというテーマでMICSプログラムの学生を対象に実施しました。過去の記事に詳しく書いてあります(https://www.c1.uec.ac.jp/class/1384/)。
私は、LuppetやLeap Motionといった機器を用いてバーチャルキャラに変身して進行を行いました。このようなイベントをやることもバーチャルキャラになることも初めてで戸惑いましたが、MICS杯を通して研究室の先輩やMICS杯に参加してくれた方と交流できて楽しかったです。

MICS杯のyoutube配信。司会進行はバーチャルキャラで行いました!

2021年3月は、卒業式でMagicMirrorの展示を行いました。MagicMirrorは、大きなディスプレイの前に人が立つと、鏡のように人の動きに連動してバーチャルキャラが表示されるシステムです。卒業式に合わせて、和装のキャラやスーツ姿のキャラ、さらには学長のキャラなどのモデルを使用できるようにし、記念撮影を楽しめます。

MagicMirrorでバーチャルキャラと握手をして記念撮影

複数人でも利用可能ですが、コロナ対策で人々の距離が近すぎると「密です」と表示されるようになっていました(https://twitter.com/gakushokutv/status/1374695832587407363)。
写真は、卒業式当日の写真で、学生だけでなく卒業式に参列する偉い人まで踊っていたそうです。

卒業式に参列された方がMagicMirrorで踊っている様子

2021年9月は、昨年の夏休みに開催したMICS杯の第2回目を「MICS杯2021」と称して開催しました(https://twitter.com/MICScup_uec/status/1430736392204685312)。今年のテーマは「マンデルブロー集合」で、この計算をFPGAを用いてどれだけ速く計算できるかを参加者同士で競う企画を行いました。また、去年と違ってMICSプログラム所属の学生限定ではなく、学内全体に対象を広げて実施しました。その結果、Ⅱ類の学生が参加してくれたり、学域1年生と修士2年生で計算速度を競うことになったりと面白い展開となりました。計算速度の測定だけでなく、どのように設計をしたかのプレゼンをしていただいた上で参加者同士でソースコードを見ながら話す機会も設けました。
今年は2人のバーチャルキャラで進行を行いました。参加者の中にもバーチャルキャラで参加してくれた方もおり、かなり賑やかな画面になっていました。FPGAを授業で習ってない学生が1週間程度でFPGAをマスターしてマンデルブロー集合の計算を完成させるなど、参加者の努力も感じられ、なかなか熱い大会になったのではないかと思います。

MICS杯2021のYoutube配信。今年はバーチャルキャラで参加してくださった方々もいました!

ここに挙げたイベント以外にも、夏休みはB4の卒研中間発表に向けた準備を、春休みは卒業および修了した先輩方の研究発表を行なっています。

コロナ対策を行いながらも、定期的にイベントを実施できて嬉しく思います。私は研究室に配属されてから“コロナ禍以前の合宿”というものを経験したことがないので一度は経験してみたいとも思います(先輩方の話を聞くと、お酒を飲みながら夜通し研究発表の直しをしていたこともあるみたいです)が、お酒を飲むのがあまり得意ではない私にとっては今の状況が合っているのかもしれません。

また、合宿とは別に、2021年10月に行われた学域2年生向けのイベント「勉強仲間を作る会」(https://mobile.twitter.com/uecsvolunteer/status/1442748232115703811)では展示を行いました。研究室ではMagicMirrorや修士研究についてのデモを、I類の計算機室では大型ステレオディスプレイによる3D映像のデモを、学内生にみてもらいました。例年であれば、オープンキャンパスでやっていたような展示を久しぶりの対面イベントで行うことができました。

タイルドディスプレイを用いた大画面VRを研究している卒研生によるデモ

以上、2020年3月から2021年9月までの成見研究室での合宿代わりのイベント&10月の対面イベントの紹介でした。次回予定している2022年3月も合宿は難しいかもしれませんが、研究室という集まりは大学生活で貴重な経験の場だと思います。

FPGA 実験の遠隔化に関する学会発表(2021/9/29)

ここでの話は、以前の記事(J1実験:論理回路(オンライン実験)の紹介(2020/8/14)J1実験:論理回路の紹介(2019/7/10))の続きとなっています。

発表内容について

(1) 2020 年度の取り組みをまとめ、情報処理学会の「コンピュータと教育研究会」で発表した内容(「FPGA を用いた論理回路設計実験の遠隔実践」、研究報告コンピュータと教育(CE),2020-CE-157(13),1-8(2020-10-31),2188-8930)が認められ、2021 年度の山下記念研究賞をいただきました。また、発表のさいに以下のようなコメントをいただきました。

  • 私も実機を用いずに、シミュレーションだけではいけないだろうなと思います。
  • 実装パワーに圧倒されました。
  • この課題を遠隔操作で行なって、レポートにするのは学生にとってはやや大変そうですね。

(2) 2021 年度の報告(「FPGA を用いた論理回路設計実験を遠隔化した結果に関する報告」)を SSS2021 のポスターセッションで行ないました。以下のようなコメントをいただきました。

  • 今となっては別に実機を操作せず全てをシミュレーションするのでも構わないのではないでしょうか。
  • たとえば、小学校で習う炎色反応を CG で実現する教材を提案したところ、教師から「そんなもので実体験を通した教育できるか」叱られました。この課題も同じ問題がありそうですね。

総じて、技術が進み虚実の境界が揺らぎ始めている現代ならではの深い問題を孕んでいると考えさせられました。

遠隔実験を通して分かったこと

以下の 2 点を紹介します。

1. 自宅でいつ実験しているか

遠隔化により、学外から課題に取り組めるようになったので、これまでの CED の開室時間内でしか作業できないといった時間的な制約も緩和することにしました。その結果、個々の学生のライフスタイル(朝型・夜型、この時間はバイトしている、この時間は趣味に没頭している、など)の違いが反映されたのだと思いますが、課題に向き合っている時間帯が広がっていることがわかりました。以下のグラフは全ての組の学生をまとめて、どの時間帯に作業していたのかを表しています。深夜から早朝にかけて課題に取り組んでいる人も少なからずいますね。

2. 対面と遠隔の実験の進み具合の差

全受講生が遠隔での作業を行なった 2020 年度に対して、2021 年度は 141 名の学生のうち 76 名が対面つまり CED で、65 名が遠隔で課題に取り組みました。ふたつのグループに違いはあるでしょうか? この問いに対する調査は始まったばかりですが、違いの一例を示したいと思います。本課題は 7 つの問題からなり、個々の問題を解くたびに教員や TA のチェックを受けることになっています。そこで不備が見つかれば、学生は再考することとなります。見方を変えればチェックにパスした回数(全部パスすれば 7)は解答の進み具合とみなせます。対面と遠隔のチェック(にパスした回)数を以下のグラフに示します。

どの組も、遠隔よりも対面でのチェック数が多いことが見て取れると思います。理由はさまざま考えられ、これから検証してまとめる予定ですが、その知見を遠隔での講義や演習・実験などに活かすことができると考えています。

留学生のバンコクでの国際会議発表(2019/9/6)

成見研に一年間滞在していた修士の学生さんが2019年9月6日にタイのバンコクでの国際会議( ECTI-UEC-AI2019 )で発表しYoung Researcher Encouragement Awardを受賞しました。電通大の短期交換留学プログラム(JUSST)によるメキシコからの留学でした。

高速かつ高精度なノイズリダクションのアルゴリズムを考えFPGAにも実装した

国際会議の合間はバンコクの市街や少し離れた町も訪れたようです。以下は本人からの旅の報告です。

My name is Eduardo Pichardo, I am Mexican and for one year I had the chance to live in Japan as an international exchange student and learn the Japanese customs and lifestyle. I must say that the first 2 months were a little bit difficult because I had to adjust my self to the hard-working Japanese lifestyle. I spent countless hours in my lab trying to make the most out of this year, academically speaking, trying to learn from my lab mates and from my professor. By the end of the year I had the chance to participate on an international conference held in Bangkok, Thailand, using the results I obtained from my lab-work. My professor, PhD. Tetsu Narumi, was helpful and supportive all the time, and even help me to obtain financial support from the university to attend to the conference in an all-expense paid trip.

My trip lasted for 4 days and I must say that I made the best of each moment. I visited 2 different provinces in Thailand: Bangkok and Pattaya. Bangkok, it turns out, is an easy city to live in. There’s lots to do, plenty of events, great bars, amazing and exotic food, and it’s easy to get around (except during rush hour). I love cities where there’s always something to do. No matter what time of the day or day of the week, you can always find something to do in Bangkok. Also, when I found hidden markets and amazing street stalls frequented only by locals, became friends with residents, and understood how it operated, I knew why people loved Bangkok so much.

I would like to thank my Professor, Tetsu Narumi, and to the University of Electro- Communications for allowing me to have such an amazing experience of living one year in Japan and having the opportunity of traveling abroad, on behalf the UEC, to share my research and get to know a new culture.

成見研オープンラボ(2019/6/1)

大学院向けの研究室公開であるオープンラボがありました。今年は全体での学外からの来場者が過去最高だったとか。

成見研では三つのデモを行いました。一つ目はPlaystation 3を5台使ったデモ。2017年まで大学院の授業でPS3でのプログラミングに使っていたのですが、もう使わずPS3がたくさん余ったので、中古のレースゲームを五つ買ってタイルドディスプレイとして使ってみました。

二つ目はスマホで音源分離を行うもの。音楽からギターだけ取り出すなど行うのが音源分離。PCではなく非力なスマホでもGPUを使えば何とかなるのでは?という狙い。

三つめはFPGAを用いたタイルドディスプレイの高解像度化。複数のディスプレイを使った一つの大きなディスプレイを作るのがタイルドディスプレイ。FPGAを使ったハードウェアで実現するとディスプレイ間の同期ずれがなく滑らかな動画を流せます。しかしハードウェアの開発は大変。緑の画面の左下にあるのが今回のFPGA (Nexys Video)。

ちなみにLANケーブルに垂れ下がってるのは前の先輩が残した七夕の短冊。電通大らしいことが書いてます、、。