VR電通大での授業配信@コンピュータグラフィックス

MICSプログラム3年次の専門科目であるコンピュータグラフィックス(以下CG)の授業をVR電通大に配信する試みをしました。その報告と簡単な仕組みの紹介をします。

成見先生の担当しているこのCGでは過去にも授業のバーチャル化や配信に関して様々な取り組みを行っており、例えば5年前にはUnityで開発した独自のアプリ上でVR授業を配信しました。

また、3年前には授業をZoomで配信するにあたり、Kinectで検出した先生の位置を自動的に拡大することで黒板のその時書かれている箇所を見やすくするシステムが開発されました。

これらに続きCGの授業を実験台に新たに試みたのが、VRChatの電通大ワールドで授業を受けられるシステムです。

実は電通大が進めている「共創進化VRキャンパス」というプロジェクトでキャンパスが3Dモデルとして再現されており、それがVRChatのワールドとしてアップロードされています。

現時点では再現されている領域は一部であり、教室に入れるのはA棟だけのようです。

この教室内のスクリーンには用意したスライドを映すかYouTubeの動画またはライブを流すことができ、今回は後者の機能を用いて授業配信を行いました。

そのために授業をまずYouTubeで配信する必要があるので、全体の仕組みとしては前述のKinectを活用したZoom配信システムと組み合わせて、授業をZoomで配信→その画面をキャプチャしてYouTubeに配信→VRChat内の教室のスクリーンにライブURLを設定、という工程になっています。

このように外部のシステムをフル活用していることもあり、実際にやってみると初期設定では配信ソフトのOBS StudioでZoomの画面をキャプチャできなかったり、学生に大学から配られるGoogleアカウントではYouTubeにログインできなかったり、ポートが開いていないらしくeduroamではVRChatに接続できなかったりと工学的ではない範囲のトラブルが多発しましたが、なんとか実現できました。

Zoom等での単なる配信と比較すると、対面授業のように受講者が集まっている感を得られると同時に、こちらの声や動きは先生には分からないのでみんなで雑談したり遊んだり(?)しながら講義を聴く珍しい体験が出来そうです。空中に描けるペンも置いてありました。

事情により対面で出られないから仕方なく遠隔受講、というこれまでの概念を越えて対面では得られない新たなモチベーションを生み出すものだと感じました。

共創進化VRキャンパスは学生がキャンパスを改変・拡張していけることを特徴としており、現在進行形で「進化」が行われています。今後はもっとリッチな体験が出来るようになっていくかもしれません。